出典:RKB毎日放送NEWS
みなさん、こんにちは!
本日は、JR博多駅で始まった「ペロブスカイト太陽電池」の実証実験についてご紹介します。
駅ホームの屋根を活用し、約1年間かけて発電効率・耐久性・季節ごとの性能変化を検証する取り組みです。
駅屋根を発電設備に
JR博多駅では、軽量で柔軟性の高いペロブスカイト太陽電池を屋根に設置し、耐久性や発電効率を長期的に確認する実証をスタートしました。
ペロブスカイト太陽電池は、次のような特長を持っています。
- 軽量・薄型・曲げ可能で設置自由度が高い
- 小屋根や壁面など、従来設置困難だった場所でも利用可能
- 都市部・既存建築への適用が容易
福岡県の服部知事も現地を視察し、「2050年カーボンニュートラル実現に向けた大きな一歩」とコメントしています。
屋根から「街全体が発電する構造」へ
太陽光パネルというと重く頑丈なイメージですが、こちらは軽くて薄く、このように曲げることもできます。
この柔軟性こそ、ペロブスカイト太陽電池の最大の強みです。
これまで屋根上中心だった太陽光設置の概念を覆し、“街そのものを発電インフラ化する”という新しい方向性を示しています。
昨日取り上げた積水化学×NTTデータによる壁面設置工法の開発と合わせて見ても、ペロブスカイト太陽電池が「研究段階」から「実装段階」へ進み始めたことが分かります。
鉄道ネットワークを面的な発電網に
鉄道駅は、広い屋根面積と高い電力需要を併せ持つ理想的な発電拠点です。
軽量な太陽電池を用いれば、構造制約の多いホームや高架部分でも導入が可能になり、「電車が走る=発電が並走する」という都市インフラ型の再エネモデルが見えてきます。
この動きは、鉄道インフラを活用した面的再エネ供給ネットワークの実現に向けた重要な一歩といえます。
地方都市から始まるエネルギー転換モデル
この実証が福岡県で行われている点も大きな意味を持ちます。
地方自治体が主体的に再エネ実装を進めることで、「地域 × 再エネ × 交通」の融合モデルを先行的に形成できる可能性があります。
福岡県は2050年カーボンニュートラルの実現を掲げており、公共交通インフラを活用する今回の試みは、他地域への波及モデルとなるでしょう。
EPCに求められる“再エネ空間設計力”
EPCの視点から見ても、今回の実証は象徴的です。
再エネ導入の主戦場は「新設」から「既存ストック活用」へ移行しつつあります。
鉄道・商業施設・公共建築など、既存構造物をいかに再エネ化するかが鍵となり、設置構造・荷重・景観といった多面的な設計力が問われる時代になっていくでしょう。
都市インフラがそのまま発電する時代が、もう目の前まで来ています。
私たちEPCは、「どこにでも再エネを実装できる」技術と設計力を磨き、街全体を“発電空間”に変えていく担い手としての役割を果たしていきたいと思います。