みなさん、こんにちは!
今日は、CO2排出量算定の事実上の世界標準である「GHGプロトコル」の改定作業が進んでいるというニュースを共有します。
この改定は、日本の再エネビジネスの構造を根本から変える可能性があります。特にスコープ2(電力使用に伴うCO2排出)における「同時性」と「供給可能性」の厳格化が焦点となっており、現在日本で広く使われている非化石証書やバーチャルPPAが「再エネ」として認められなくなる可能性があります。
スコープ2の定義は2027年内の決定を目指し、1月末までパブリックコメントが受け付けられています。「同時性」が厳格化された場合、太陽光PPAで再エネ比率を50%以上に高めるには蓄電池導入が必要となり、オンサイト型や蓄電池併設型のPPAと新設太陽光発電の価値が急激に高まります。
環境省の杉井威夫氏がJPEA新春交流会で「GHGプロトコルにおいて”追加性”のある再エネ導入が重視され、新たな太陽光発電の設置が評価の前提になりつつある」と述べたことと、今回のGHGプロトコル改定は完全に連動しており、企業の再エネ調達戦略を根本から見直す必要を意味します。
GHGプロトコルとは何か
みずほリサーチ&テクノロジーズ・環境ビジネス戦略チームの角潤幸マネジャーは、GHGプロトコルの重要性について次のように説明します。
排出量算定の事実上の世界標準
GHGプロトコルの定義
- 米シンクタンクのWRI(世界資源研究所)と国際的な経営者団体である
WBSCD(持続可能な発展のための世界経済人会議)が主導 - 温室効果ガス(GHG)の排出量を算定する国際的な基準
日本企業への影響
- 日本の上場企業はSSBJ(サステナビリティ基準委員会)基準に基づいてESG情報を開示
- 温室効果ガス排出量の開示についてはGHGプロトコルに沿って算定
国際イニシアチブへの影響
- RE100やSBTi(科学に基づく目標設定イニシアチブ)など
環境経営に大きな影響を持つ団体の基準もGHGプロトコルに影響を受けている
つまり、GHGプロトコルは企業の脱炭素戦略の根幹を規定する世界標準であり、その改定は日本企業の再エネ調達に直接的な影響を及ぼします。
「同時性」という革命的な概念
改定作業の中で最も影響が大きいのが、スコープ2における「同時性」の厳格化です。
「同時性」とは何か
定義
- 電力の需要と供給を時間単位でマッチングさせること
- 「1時間単位の同時同量」「アワリーマッチング」とも呼ばれる
現在の日本の仕組み
- 需要家が小売電気事業者と非化石証書を使った再エネ電力メニューを契約
- 非化石証書を生み出した電源が太陽光発電であっても、夜の需要に割り振ることが可能
- 非化石証書を伴う電気の供給量と需要を年単位で量的に合わせるのが普通
- 発電した時刻に関する概念はない
改定後の厳格化
- 発電した時刻と需要の時刻との「同時性」を1時間単位でマッチング
- 電気の物理的な流れと契約ベースの電気の流れを極力近づける
この変化は、年単位の量的マッチングから1時間単位の時間的マッチングへという革命的な転換です。
角氏は、「同時性」が厳格化された場合の影響を次のように説明します。
太陽光PPAへの影響
オンサイト型・オフサイト型PPA
- いわゆる「生グリーン電力」として30分単位で需要と供給を合わせている
- GHGプロトコルが目指す「同時性」の視点でも問題ない
太陽光PPAの限界
- 太陽光のPPAスキームに同時性を適用された場合、太陽光を置き換えられる時間帯が限られる
- 再エネ比率は20~30%がやっと
50%以上を達成するには
- 太陽光であれば、余剰の発生する昼に需要をシフトさせる
- 蓄電池を導入して余剰分を充電して夜に放電する
- 逆に言えば、蓄電池の設置が活発化する可能性
100%達成には
- 太陽光では賄えない夕方から夜の需要に対応できる再エネとして、
風力やバイオマス、水力発電の価値が高まる
この分析は、太陽光発電単体では限界があり、蓄電池や他の再エネ電源との組み合わせが不可欠になることを示しています。
非化石証書とバーチャルPPAの危機
「同時性」厳格化の影響を最も深刻に受けるのが、非化石証書とバーチャルPPAです。
非化石証書の問題
現状
- サービス自体の存続が懸念されるほど影響が大きい
- 非化石証書やグリーン電力など日本の再エネ証書には、
発電所と紐づけするトラッキングの仕組みはある - しかし発電した時刻の情報がない
改定後の影響
- いまのままで同時性が厳格化された場合、「再エネ」と認められなくなる
- 再エネとされるには、証書に発電時刻の情報を加えて、
その時刻にあわせて需要に割り当てていくという変更が必要
この変更の意味は極めて大きく、現在「再エネ100%達成」を宣言している企業の多くが非化石証書に頼っているため、改定の影響は企業経営を左右するほどの規模となります。
バーチャルPPAの矛盾
現状
- 採用が増えている「バーチャルPPA」
- 契約した再エネ電源から環境価値だけを取得
- 物理的な電気は卸電力市場から調達
問題点
- バーチャルPPAは同時性をクリアできない
- 新設した再エネからの環境価値の創出という意味で「追加性」はある
- しかし同時性という点では課題
この矛盾は、「追加性」と「同時性」という2つの基準が必ずしも一致しないことを示しています。
ITシステム投資という新たな課題
「同時性」をクリアするためには、膨大なITシステム投資が必要になります。
システム要件
角氏の説明
- 再エネ証書の利用で「同時性」を達成するには、
電源ごとに24時間・365日、つまり8760コマごとの発電時刻の情報を貼付することが必須 - これを実現するには、新たなコンピューターシステムが必要
- 管理・保存するデータ量も膨大
業界内の認識
- GHGプロトコルを議論している関係者の間でも、
「同時性」の問題はITシステムの問題とも言われている
コストとのバランス
懸念
- 新たなIT投資があまりにも多額になる場合、
その分のお金で新たな再エネ開発を進めていくべきではないか、との批判もある
現状
- ITの専門家を含めて模索している段階
- システム投資にどのくらいのコストや時間がかかるのか、
誰がどれくらい大変になるのかを検討中
決定の行方
- スコープ2の定義については2027年内の決定を目指し、1月末までパブリックコメントの最中
- 同時性の厳格化については、IT投資を含めた社会コストとのバランスから
最終的に「推奨」に留まる可能性もあり、現時点では流動的
「推奨」に留まる可能性があるとはいえ、企業のESG評価や投資家の判断において「推奨」事項を満たしているかどうかは重要な指標となるため、実質的には義務化に近い影響を持つ可能性があります。
「供給可能性」による市場再編
「同時性」と並んで重要なのが、「供給可能性」の厳格化です。
「供給可能性」とは何か
定義
- 電力の供給を受けられる地域的な範囲を、
同一市場など物理的に供給できるエリアに限定する考え方 - 契約上の電気の流れを物理的な流れに近づける
日本への適用
- 「同一市場」が基本
- 日本にそのまま当てはめると、一般送配電事業者の送電範囲である
9エリア(北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州)プラス沖縄
議論の状況
- 9エリアだと細かすぎて需要の大きい首都圏では再エネ電気が不足することは目に見えている
- 周波数の同じ西日本と東日本の2エリアが適切ではないか
- 電力系統がつながっているのだから、
沖縄を除いて日本全体で1つのエリアと考えてもよいのではないか - 現時点では不透明
9エリア区分の影響
首都圏への影響
- 再エネが不足
- 企業の再エネ調達が困難に
北海道への影響
- 再エネの豊富な北海道から需要の大きな首都圏に再エネ電気を販売できなくなる
- 供給に対して需要が少ないと売電単価は下がる
- ほとんどの再エネ発電事業は事業性が悪化
- 需要地から離れているメガソーラー事業者にとっては致命的
角氏は「こうした状況は、必ずしも再エネの新規開発にとって良い方向ではありません」と指摘します。
一方で、秋田県や石狩市など、再エネ開発による「生グリーン電力」を売りに企業誘致を目指す自治体にとっては、エリア間供給の厳格化は追い風になります。
再エネ豊富な自治体への追い風
自治体のメリット
- 再エネが豊富で工業団地などに余裕のある自治体
- 新たにメガソーラーを建設して首都圏に売電するより、
企業や工場を誘致する方が雇用創出効果は大きい
現実的な課題
- こうした自治体は全体からみれば、ほんの一部
- 工場誘致といってもそう簡単ではない
エリア間供給の厳格化についても、自治体や事業者にとってさまざまな意見があるため、最終的にどのように決まるのか不透明です。
「追加性」と「標準供給サービス」
GHGプロトコルでは、「追加性」については直接的なテーマではないものの、関連する概念として「標準供給サービス」が議論されています。
「追加性」に関する基本スタンス
角氏の説明
- GHGプロトコルでは、「追加性」については議論のテーマにしないというのが基本スタンス
- もともとGHGプロトコルの目的は、
インベントリ(温室効果ガス排出・吸収の一覧表)の基準を策定すること - そこには、電源がいつ稼働し始めたのか、という時間的な概念はない
「追加性」との違い
- 新しい再エネを重視する「追加性」では、
いつを基準にするかというベースラインの設定が必要
「標準供給サービス」という概念
定義
- 公的支援を受けた非化石電源などについては、
需要家全体に公平に分配されるべきという考え方 - 設備年数が一定以上経過した電源については、
自動的に標準供給サービスとして取り扱うとの案も
日本への適用
- 日本でいうと、FIT電源が「標準供給サービス」にあたる
- 実際、国内の制度でも、FIT電源には環境価値がないとされている
- 全需要家に均等に割り振られているため、
それ以上の再エネ価値を主張できないという整理
FIT非化石証書の問題
- 経産省は、国内に豊富なFIT再エネの環境価値を
「FIT非化石証書」として事実上の再エネとして使える制度を創設 - 小売電気事業者が提供している再エネメニューでは、
「FIT非化石証書」付き電気を採用しているケースが多い - 「標準供給サービス」がGHGプロトコルに採用された場合、
「FIT非化石証書」をどう考えればいいのか、複雑な問題
議論の状況
- 「標準供給サービス」については、追加性の考え方に近づくこともあり、
GHGプロトコルにおける議論の中でも様々な意見がある
この概念は、実質的に「追加性」を間接的に評価する仕組みとして機能する可能性があります。
既存契約への影響と「レガシー条項」
すでに契約して稼働しているPPAスキームなども影響を受けるのでしょうか。
「レガシー条項」の議論
角氏の説明
- 改定によって既存のPPAなどがどうなるのか、という課題は、
「レガシー条項」と呼ばれて、すでに議論されている - 大きな方向性としては、改定前から締結していた長期契約については、
定められた条件下で契約内容が維持される方針
未確定な部分
- どの要件が免除されるのか
- どの程度の期間、当初の契約内容が維持されるのか
- 条件の詳細についてはまだ議論している段階で結論は出ていない
この「レガシー条項」により、既存契約はある程度保護される見込みですが、詳細は未確定です。
非化石証書とバーチャルPPAの存在基盤が揺らぐ
GHGプロトコル改定の最も大きな影響は、現在日本の再エネ調達で広く使われている非化石証書やバーチャルPPAの再エネとしての信頼性が根本的に問われることです。
現行の仕組みの問題点
非化石証書
- 年単位で量的に合わせれば再エネとして認められる
- しかし「同時性」が厳格化すれば、発電時刻の情報がないため
「再エネ」と認められなくなる可能性
バーチャルPPA
- 環境価値だけを取得し物理的な電気は卸電力市場から調達
- 「追加性」という点では新規再エネ開発に貢献
- しかし「同時性」という点では課題
企業への影響
現在の状況
- 多くの企業が非化石証書やバーチャルPPAに頼って「再エネ100%達成」を宣言
改定後の影響
- これらが「再エネ」として認められなくなる可能性
- 企業の再エネ調達戦略を根本から見直す必要
- 改定の影響は企業経営を左右するほどの規模
オンサイト型と蓄電池併設型の価値急上昇
「同時性」をクリアできる選択肢
- オンサイト型PPA(発電時刻と需要時刻が物理的に一致)
- 物理的オフサイト型PPA(「生グリーン電力」として30分単位で同時同量)
- 太陽光+蓄電池(昼間充電、夜間放電で同時性を確保)
- 風力・バイオマス・水力(夕方から夜も発電可能)
これらの選択肢の価値が、改定によって急激に高まります。
「供給可能性」と「標準供給サービス」による市場再編
「供給可能性」と「標準供給サービス」の導入は、日本の再エネ市場に構造的な再編を引き起こします。
9エリア区分の影響
地域間の不均衡
- 再エネが豊富な北海道や東北から、需要が大きい首都圏への売電が困難に
- 首都圏では再エネが不足
- 供給過多の北海道では売電単価が下がり事業性が悪化
メガソーラーへの影響
- 需要地から離れているメガソーラー事業者にとっては致命的
- 野立てメガソーラーの事業モデルの持続可能性を問い直す
FIT電源の環境価値低下
「標準供給サービス」の適用
- FIT電源の環境価値は自動的に全需要家に分配
- FIT非化石証書をもとにした再エネメニューの価値も大幅に低下する可能性
「追加性」の相対的重視
- 「新規に再エネを開発・導入する」という追加性を持つ電源の価値を相対的に高める
市場構造の転換
- 新設の太陽光発電所から直接電力を調達するオンサイト型や物理的PPA型が、
企業の脱炭素策の中核となる構造へと変わる
EPC事業者としての5つの戦略的対応
GHGプロトコル改定は、EPC事業者の事業モデルに直接的な影響を及ぼします。
オンサイト型と蓄電池併設型の提案強化
「同時性」が厳格化された場合、オンサイト型PPAは発電時刻と需要時刻が物理的に一致するため自動的にクリアできます。
オンサイト型の優位性
- 同時性を自動的に満たす
- 追加性(新設)も満たす
- 企業にとって最も確実な再エネ調達手段
蓄電池併設の必要性
- 太陽光+蓄電池の組み合わせにより昼間の余剰を蓄電し夜間に放電
- 再エネ比率を50%以上に高めることが可能
- 「同時性」を満たしつつ再エネ比率を最大化
提案内容
- 企業の自家消費型案件では、昼間の太陽光発電と夜間の蓄電池放電を組み合わせる設計
- エナリスのような一括運用サービスやアグリゲーターとの連携を強化
- 太陽光+蓄電池の組み合わせを新規案件の標準仕様として組み込む
この組み合わせは、今後の事業モデルの中核となります。
「追加性」を企業提案の訴求点として最大限活用
環境省の杉井威夫氏がJPEA新春交流会で述べたように、「GHGプロトコルにおいて”追加性”のある再エネ導入が重視され、新たな太陽光発電の設置が評価の前提になりつつある」という流れは、今回のGHGプロトコル改定と完全に連動しています。
訴求ポイント
- 「新設太陽光発電によるスコープ3削減貢献」を明確に訴求
- 既設FIT発電所からの電力購入やFIT非化石証書では「追加性」が認められない
- 新規に太陽光を設置することで御社のGHGプロトコル対応に貢献
ターゲット
- RE100、SBTi参加企業
- 国際的なサプライチェーンを持つ製造業
- 2030年の経営目標に再エネ拡大を盛り込んでいる企業
新設太陽光の「追加性」は、企業の脱炭素策の中核となる価値です。
企業顧客のGHGプロトコル対応支援
企業の多くは、GHGプロトコル改定の詳細や自社の再エネ調達にどのような影響があるかを把握していません。
提供すべき情報
- GHGプロトコル改定により、現在のFIT非化石証書やバーチャルPPAが
再エネとして認められなくなる可能性がある - オンサイト型や蓄電池併設型のPPAが最も信頼できる対応策
- 2027年内に決定予定だが、今から準備を始めることが重要
支援内容
- 企業の現在の再エネ調達方法の診断
- GHGプロトコル改定後の影響評価
- オンサイト型や蓄電池併設型への移行計画策定
- 2030年目標達成に向けたロードマップ作成
タイミング
- 2030年の経営目標に再エネ拡大を盛り込む企業には、
今の段階で対応策を検討し始めることが重要
EPC事業者がGHGプロトコル改定のアドバイザーとしての役割を果たすことで、企業との信頼関係を構築できます。
物理的PPA(オフサイト型)の提案開発
オンサイト型だけでなく、物理的に電力を供給する「生グリーン電力」としてのオフサイト型PPAも「同時性」をクリアできます。
オフサイト型PPAの条件
- 30分単位で需要と供給を合わせる「生グリーン電力」
- 企業と同一エリア内に太陽光発電所を開発(供給可能性への対応)
開発戦略
- 「供給可能性」で9エリア区分が適用された場合を想定
- 企業と同一エリア内に開発用地を確保
- エリア別の開発戦略が必要
提案内容
- 企業の需要パターンに合わせた発電所設計
- 蓄電池併設により同時性を強化
- 複数企業への供給で開発リスクを分散
物理的PPAは、オンサイト型が困難な企業にとって最も確実な再エネ調達手段となります。
蓄電池を標準仕様として組み込む設計の加速
「同時性」が厳格化すれば、太陽光発電所に蓄電池を併設することが企業の再エネ比率を高めるために不可欠になります。
標準仕様化の内容
- 新規案件では太陽光+蓄電池を標準設計として提案
- 蓄電池容量は企業の夜間需要に合わせて最適化
- エナリスのようなアグリゲーターとの提携で一括運用
効果
- 昼間の太陽光発電で自家消費+充電
- 夜間は蓄電池から放電して需要を賄う
- 「同時性」を満たしつつ再エネ比率を最大化(50%以上)
投資回収
- 電力コスト削減
- GHGプロトコル対応による企業価値向上
- 環境価値の創出
蓄電池併設は、GHGプロトコル対応の必須要件となる可能性が高いため、早期に標準化すべきです。
2027年決定に向けた準備
スコープ2の定義は2027年内の決定を目指しており、現時点では流動的な部分もありますが、企業が「追加性」と「同時性」を満たす再エネ調達にシフトする流れは不可逆です。
パブリックコメントと決定プロセス
現状
- 1月末までパブリックコメント受付中
- IT投資を含めた社会コストとのバランスから「同時性」は「推奨」に留まる可能性もある
- 「供給可能性」のエリア区分も不透明
注意点
- 「推奨」に留まる可能性があるとはいえ、
企業のESG評価や投資家の判断において重要な指標 - 実質的には義務化に近い影響を持つ可能性
今から準備すべきこと
EPC事業者として
- オンサイト型と蓄電池併設型の提案体制構築
- 企業顧客へのGHGプロトコル改定情報提供
- 物理的PPAの開発戦略策定
- 蓄電池の調達・施工体制確立
企業顧客への働きかけ
- 2030年目標を持つ企業に対して、GHGプロトコル改定の影響を説明
- 現在の再エネ調達方法の診断と移行計画策定を提案
- 早期着手の必要性を訴求
市場トレンドの把握
- GHGプロトコル改定の最終決定内容を継続的にフォロー
- RE100やSBTiなど国際イニシアチブの動向把握
- 国内制度(非化石証書、FIT非化石証書など)の改定動向も注視
今年1月末までにパブリックコメントが締め切られます。最終的にどのような形で決着するのか、情報収集を続けていく必要があります。
再エネ調達革命の始まり
GHGプロトコルの改定は、日本の再エネビジネスの構造を根本から変える「再エネ調達革命」です。
変革の本質
従来の構造
- 年単位の量的マッチング
- 非化石証書やバーチャルPPAで「再エネ100%」を達成
- 発電時刻や物理的な電力の流れは問われない
新しい構造
- 1時間単位の時間的マッチング(同時性)
- 物理的に供給できるエリア内での調達(供給可能性)
- 新規開発への貢献(追加性)
- オンサイト型や蓄電池併設型のPPAが主流に
淘汰される調達方法と生き残る調達方法
淘汰される可能性
- FIT非化石証書による「事実上の再エネ」
- バーチャルPPA(追加性はあるが同時性がない)
- 発電時刻情報のない非化石証書
- 需要地から離れた遠隔地メガソーラーからの調達(9エリア区分の場合)
生き残る・価値が高まる
- オンサイト型PPA(同時性と追加性を両立)
- 物理的オフサイト型PPA(生グリーン電力)
- 太陽光+蓄電池(同時性を確保しつつ再エネ比率向上)
- 風力・バイオマス・水力(夜間も発電可能)
- 同一エリア内の新設太陽光発電所
企業・EPC事業者・政策の三位一体の変革
企業
- 再エネ調達戦略の根本的見直し
- オンサイト型や蓄電池併設型への移行
- GHGプロトコル対応の組織体制構築
EPC事業者
- オンサイト型と蓄電池併設型の提案強化
- 「追加性」と「同時性」を訴求
- 企業のGHGプロトコル対応支援
政策
- 非化石証書への発電時刻情報付与
- ITシステム整備への支援
- エリア区分の適切な設定
これら三者の変革が相互に影響し合いながら、日本の再エネビジネスの構造を根本から変えていきます。
環境省の杉井氏が「GHGプロトコルにおいて”追加性”のある再エネ導入が重視され、新たな太陽光発電の設置が評価の前提になりつつある」と述べたことと、今回のGHGプロトコル改定は完全に連動しており、新設太陽光発電とオンサイト型・蓄電池併設型PPAの時代が到来しています。
