みなさん、こんにちは!
今日は、2032年から始まる固定価格買取制度(FIT)終了をめぐって、熊本県と福島県でそれぞれ動きが出ている2つのニュースをご紹介します。
熊本県:「パネル放置ゼロ」を目指す動き
まずは熊本県の事例です。
FITにより太陽光で発電した電気は、これまで1kWhあたり最大40円で買い取られてきました。
しかし2032年以降は7円前後に下がる見通しで、採算が取れなくなる事業者の撤退が予想されています。
懸念されているのは、事業終了後の「太陽光パネル放置」問題です。
撤去コストや処理ルートが不明確なまま放置されれば、景観・安全・環境のいずれにも影響が及びます。
熊本県ではこの課題に対応するため、有識者・発電事業者・リサイクル業者を交えた対策検討会議を設立。
木村敬知事は「FIT終了後にパネルが放置されないよう、今のうちに対策を講じるべき」と述べ、早期の指針づくりに着手しました。
国が動かない中、地方が“先に動く”構図
FIT終了のスケジュールだけが進む一方で、国による撤去・再資源化の明確なルールづくりは未整備のままです。
結果として、熊本県のように「現場を抱える自治体」が国を待たずに自発的に行動する流れが出てきています。
この「地方が先に制度を動かす」動きは、今後の再エネライフサイクル政策を考える上で重要な転換点といえるでしょう。
福島県:廃パネルをグラスファイバーに再生、日東紡が日本初の技術開発
一方、弊社のある福島県では、廃棄パネル問題を“技術”で解決しようとする取り組みが進んでいます。
日東紡(福島市)は、使用済み太陽光パネルのカバーガラスを再利用し、プラスチック強化用グラスファイバーに再資源化する日本初の技術を発表しました。
太陽光パネルのガラスは全体重量の約6割を占め、これまで再利用には成分制約がありました。
しかし日東紡は、高温溶融によってこれを繊維化し、独自製品「フラットファイバー」にも対応可能な形で再生することに成功。
スマートフォン外装や自動車部材など、再エネとは異分野の産業で再利用できる点も注目されています。
大量廃棄が見込まれる2030年代後半に向けて、“撤去から資源化へ”という新たな循環型インフラの方向性を示す取り組みです。
FIT後に求められる「再エネのライフサイクル設計」
FIT終了後の太陽光ビジネスは、「つくる」から「終わらせる」「再生させる」へと視点を転換する必要があります。
EPC事業者としては、以下のようなアプローチが今後重要になるでしょう。
- 発電事業者向けの撤去・再設置・再投資提案
- 現場データを活かした設備寿命・更新時期の可視化
- 地域企業と連携したリユース/リサイクルネットワーク構築
FITで築かれた“再エネ普及”の第1章が終わりを迎える今、第2章では「持続可能な再エネ循環モデル」が新たな競争軸になります。
地方が率先して動き始めた今こそ、地域EPCにとっても“次のエネルギーインフラをどう支えるか”が問われています。
