みなさん、こんにちは!
今日は、経済産業省が2026年度のFIP電源のバランシングコスト交付額を1円/kWh増額し、既認定FIT案件のFIP転換を2027年度以降も認める方針を示したニュースを共有します。
最も重要なのは、出力制御の順番をFIT電源からFIP電源の順に変更することです。これにより、FIT電源は優先的に出力制御され、FIP電源は相対的に出力制御を受けにくくなります。
つまり、「FITに留まるほど売電機会を失う」という明確なペナルティが課されることになります。
この政策設計の巧妙さは、「賦課金削減」と「FIP移行促進」を同時達成する点にあります。買取価格の高いFIT電源を優先抑制することで賦課金を年間約37億円削減し、その原資でFIP電源へのバランシングコスト交付金を1円/kWh増額します。
さらに、2027年度以降は地上設置事業用太陽光の新規認定を停止しますが、既認定FIT案件はFIP転換が可能という方針は、重要な「救済措置」であり、同時に政府の「FIT制度からの完全撤退」という明確な意思を示しています。
EPC事業者にとって、これは既設FIT発電所へのFIP転換コンサルティングという巨大な市場機会の到来を意味します。
出力制御順変更という強力なFIP移行インセンティブ
経済産業省は1月20日の調達価格等算定委員会で、FIP認定された再エネ電源に対するバランシングコストを補う交付額について、2026年度の増額分を1円/kWhとする案を示しました。
経産省は、FITからFIPへの移行を促しており、その施策の一環として、出力制御(出力抑制)の順番をFIT電源からFIP電源の順にすることを公表しています。
従来の仕組み
- 系統接続順で出力制御の対象を決定
- FIT/FIPの区別なく、接続が古い順に制御
新しい仕組み
- FIT電源を優先的に出力制御
- FIP電源は相対的に出力制御を受けにくくなる
これは、「FITに留まるほど売電機会を失う」という明確なペナルティを意味します。
特に、九州や東北など出力制御が常態化している地域では、この差が顕著になります。FIT電源は年間の出力制御時間が大幅に増加し、収益が悪化する一方、FIP電源は出力制御を回避できる機会が増えます。
「賦課金削減」と「FIP移行促進」の一石二鳥
この政策設計の巧妙さは、「賦課金削減」と「FIP移行促進」を同時達成する点にあります。
相対的に買取価格の高い電源の出力が多く抑制されることで、賦課金が減少します。これを原資にFIP移行後のバランシングコストを補う交付金をさらに増額することで、さらにFIPへの移行を促すことにしています。
2025年度の出力制御順変更による賦課金抑制額は約37億円と見込まれ、これはバランシングコスト単価換算で1.12円/kWh程度に相当するという。この範囲内での支援とする観点から、2026年度のバランシングコスト増額分として1円/kWhを示しました。
2027年度以降の増額分は、来年度の同委員会で算出するとしています。
国民負担である賦課金を削減しつつ、FIP移行を促進するという「一石二鳥」の仕組みです。
FIT電源を優先抑制することで、高い買取価格で購入する電力量が減り、賦課金が削減されます。その削減分をFIP電源へのバランシングコスト交付金に充てることで、財源を新たに確保することなく、FIP移行インセンティブを強化できます。
既認定FIT案件は2027年度以降もFIP転換可能
昨年度の同委員会では、以下が決定されています。
新規認定の停止
| 大規模バイオマス発電 (10MW以上の一般木質など、全規模の液体燃料) | 2026年度以降に新規のFIT・FIP認定を停止 |
| 地上設置の事業用太陽光発電 | 2027年度以降は新規に認定しない |
一方で、既にFIT認定を受けた案件については、FIP移行を通じて再エネの電力市場への統合を促すことが再エネ自立化の観点から重要との指摘がありました。
こうした点も踏まえ、既にFIT認定を受けたバイオマス発電と事業用太陽光発電は、新規認定を止める2026年度・2027年度以降もFIPへの移行を認めることが提案され、委員から了承されました。
2027年度以降は地上設置事業用太陽光の新規認定を停止しますが、既認定FIT案件はFIP転換が可能という方針は、重要な「救済措置」です。
新規認定停止により野立て太陽光市場は事実上終焉しますが、既に全国に存在する膨大な数のFIT認定案件に対して、FIP転換という「出口」を提供することで、再エネの電力市場への統合を促します。
FIT制度からの段階的撤退という政府の明確な意思
この方針が示すのは、政府の「FIT制度からの完全撤退」という明確な意思です。
政策の工程表
| 2027年度 | 地上設置事業用太陽光の新規認定停止 |
| 既認定案件 | FIP転換を促進 |
| 最終目標 | FIT制度の段階的廃止 |
「再エネ自立化の観点から重要」という表現は、FIT依存からの脱却が政策目標であることを示しています。
FIT制度は固定価格で買い取ることで再エネ導入を促進してきましたが、賦課金負担の増大、市場メカニズムからの乖離など、持続可能性に課題がありました。
政府は、再エネを市場に統合し、補助金に頼らない自立した電源として確立することを目指しています。
既設FIT発電所オーナーにとって、FIP転換は「選択肢」ではなく「必然」となります。
既設FIT発電所オーナーにとっての意味
- 新規認定が停止されるため、FITに留まっても将来性がない
- 出力制御順変更により、FITに留まるほど売電機会を失う
- バランシングコスト交付金が増額され、FIP転換の経済性が改善
これらの要因により、FIP転換への圧力が高まります。
EPC事業者が取り組むべき5つの戦略
バランシングコスト交付額増額と既認定案件のFIP転換継続は、EPC事業者に具体的な行動指針を示します。
2026年度中の駆け込み認定案件への集中対応
2027年度以降は地上設置事業用太陽光の新規認定が停止されるため、2026年度は最後の認定取得機会となります。
特に「2026年度中に何をすれば認定取得できるか」という実務的なガイダンスを顧客に提供できることが受注の鍵となります。
- 認定申請支援の体制強化
- 系統連系確保のための電力会社との調整
- 工事体制の強化(協力会社の確保、資材の事前調達)
- 短期集中型の対応能力
既設FIT発電所へのFIP転換コンサルティング強化
既認定案件は2027年度以降もFIP転換が可能なため、全国に存在する膨大な数のFIT発電所がFIP転換の対象となります。
下記のような包括的なサービスが、大きな事業機会となります。
出力制御順変更によるFIT留まりのリスク定量化
- 年間出力制御時間の予測
- 収益減少幅の試算
- FIP転換による出力制御回避効果
バランシングコスト交付金増額を織り込んだ収益シミュレーション
- FIT継続 vs FIP転換の比較
- 2026年度1円/kWh増額の効果
- 2027年度以降の見通し
蓄電池追加による収益最適化提案
- 市場価格に応じた売電タイミングの最適化
- 蓄電池容量の最適設計
- 投資回収期間の試算
アグリゲーター選定支援
- 主要アグリゲーターの比較
- 契約条件の交渉支援
- 運用サポート体制の確認
出力制御リスクの定量的提示
出力制御順がFIT電源→FIP電源に変更されることで、FIT電源は優先的に抑制されます。
特に九州・東北など出力制御が常態化している地域では、この差が顕著になります。
既設FIT発電所オーナーに対して、この定量的データを示すことで、FIP転換の必然性を説得力を持って訴求できます。
- FITに留まった場合:年間出力制御時間○○時間、収益減少額○○万円
- FIP転換した場合:年間出力制御時間○○時間、収益減少額○○万円
- 差額:FIP転換により年間○○万円の収益改善
バランシングコスト交付金1円増額の活用
2026年度のバランシングコスト交付金が1円/kWh増額されることは、FIP転換の経済性を大きく改善します。
FIP転換後の収益シミュレーションにこの増額分を織り込み、「FIP転換によりバランシングコスト負担が実質的に軽減される」ことを明示することで、転換判断を後押しできます。
2027年度以降の増額分は来年度算出されるため、継続的な情報収集と顧客への迅速な提供が重要です。
- バランシングコスト負担:従来○円/kWh → 2026年度以降(○-1)円/kWh
- 年間発電量が○○kWhの場合、年間○○万円の負担軽減
- FIP転換の投資回収期間が○年から○年に短縮
FIP転換+蓄電池セットの標準化
既設FIT発電所のFIP転換において、蓄電池を併設することで市場価格に応じた最適な売電タイミングを選択でき、収益を最大化できます。
エナリスやリミックスポイントの事例が示すように、FIP転換+蓄電池はセットで提案すべき標準パッケージです。
建設から運用までワンストップ提供できる体制を構築することが差別化要素となります。
- 既設発電所への蓄電池追加工事
- 制御システム導入(SaaS型も含む)
- アグリゲーターとの連携設定
- 運用サポート・モニタリング
FIT制度からの段階的撤退が確定した転換点
2026年度のFIP電源バランシングコスト交付額1円/kWh増額と、既認定FIT案件の2027年度以降のFIP転換継続は、FIT制度からの段階的撤退という政府の明確な意思を示しています。
出力制御順をFIT電源→FIP電源に変更することで、FITに留まるほど売電機会を失うという強力なペナルティが課され、既設FIT発電所オーナーにとってFIP転換は「選択肢」ではなく「必然」となります。
全国に存在する膨大な数のFIT認定案件が、今後数年以内にFIP転換の判断を迫られることになります。
EPC事業者にとって、これは既設FIT発電所へのFIP転換コンサルティングという巨大な市場機会の到来を意味します。
「FIT時代」から「FIP時代」への完全移行が、2026〜2027年を境に加速します。
