みなさん、こんにちは!

今日は、米Google社がアイオワ州で閉鎖された原子力発電所の再稼働に投資するというニュースをご紹介します。
AIやクラウドの拡大で電力需要が急増するなか、あえて「原子力」に目を向けたこの決断は、エネルギー業界に大きな波紋を広げています。

Googleが選んだのは“再エネ”ではなく“原子力”

Googleは、米大手電力会社ネクストエラ・エナジー社と共同で、アイオワ州のデュアン・アーノルド原子力発電所の再稼働に向けた協定を締結しました。

この発電所は2020年に閉鎖されましたが、今回の協定により再稼働後の電力を25年間にわたり固定価格で購入するPPA(電力購入契約)が結ばれます。
再稼働に必要な巨額投資はこの長期契約で回収可能となり、費用は一般家庭や地域企業に転嫁されません。

民間資金による大型炉の再稼働は極めて異例。
「再エネ頼みでは賄いきれない電力需要」という現実を象徴する動きです。

AIが生み出す“電力インフレ”の現実

AIの進化は、同時に電力消費の急増を招いています。
Googleは「2030年までに全世界の事業を24時間カーボンフリー電力で運用する」という目標を掲げていますが、再エネのみで安定供給を実現するのは容易ではありません。

AIモデルのトレーニングやクラウドサービスの稼働には膨大な電力が必要で、世界中のデータセンターが新たな“電力消費都市”となりつつあります。
その中で、原子力を「即応性のあるクリーン電源」として再評価する潮流が現実化しています。

福島から見る「原子力再評価」の複雑なリアル

原発事故を経験した福島に拠点を置く立場からすると、こうしたニュースにはやはり複雑な感情を覚えます。

確かに、原子力はCO2を排出しない安定電源です。
しかし、廃棄物処理や安全性、地域住民の心理的負担といった問題は今も残っています。

日本でも高市早苗首相が「エネルギー自給率100%」を掲げ、原子力やペロブスカイト太陽電池など国産エネルギー強化策を打ち出しています。
Googleのように既存炉を再評価する動きが、日本国内でも再び加速する可能性があります。

「電力をどこで生むか」の時代へ

再エネ・蓄電池の最適化を進めるEPCの立場から見ると、今回のニュースは“エネルギーの地産地消”の重要性を改めて浮き彫りにしています。

AI需要のように都市部で電力が集中する構造では、発電所の立地リスクや送電損失の課題も深刻化します。
だからこそ、私たちは地方の分散型エネルギーとしての太陽光・蓄電池・PPAモデルを強化し、地域で電力を循環させる設計を進める必要があります。

「AI×電力」はエネルギー転換の転機に

AIがもたらすのは情報革命だけではなく、電力の新しい地図を描き直す力です。

原子力の再評価は、その変化の一部に過ぎません。
重要なのは、「どこで、どのように電気をつくり、誰が使うのか」という社会設計そのもの。

Googleの動きは、私たちに“エネルギーをどう未来につなげるか”を問う出来事でもあります。
再エネと原子力、そして地域がどう共存するのか――これからの議論が本格化しそうです。