みなさん、こんにちは!
今日は、政府・自民党がメガソーラーの新規支援を2027年度から廃止する方針を固めたという重要なニュースについて共有します。
東日本大震災以降の普及促進方針を根本から転換するもので、環境破壊の社会問題化と再エネ賦課金の負担増大が背景にあります。出力1,000kW以上のメガソーラーと出力10kW以上の地上設置型事業用太陽光がFIP制度の申請対象外となり、屋根設置型と家庭用のみ支援継続となります。
2012年度のFIT開始から15年間続いた野立て太陽光中心の成長モデルは終焉し、太陽光発電市場の構造転換点として極めて重要な政策変更です。
2027年度からの支援廃止――政策の概要
政府・自民党は2027年度から、出力1,000kW以上のメガソーラーと出力10kW以上の地上設置型事業用太陽光発電について、FIP制度(市場価格に一定額を上乗せして買い取る支援制度)の申請対象外とする方針を固めました。
自民党が15日にも提言をまとめ政府に提出し、政府は年内にも関係閣僚会議で2027年度からの支援廃止方針を決定する方向です。一方で、自然環境への影響が少ない屋根設置型の事業用設備と家庭用設備に対する支援は継続します。
この政策変更の背景には、メガソーラーを巡る環境破壊の社会問題化があります。山林などを切り開き数万枚超のパネルを使用するケースもあり、近年は生態系破壊、森林伐採に伴う災害リスク増大、景観悪化などが指摘されてきました。北海道釧路湿原国立公園周辺や千葉県鴨川市など、地元住民と事業者間のトラブルも相次いでいます。
政府は環境影響評価(環境アセスメント)の対象も、現行の出力4万kW以上から引き下げて拡大します。メガソーラーは発電コストが大きく低下しており、自民内には「支援は役目を終えた」との声があります。高市首相は9月の総裁選で「釧路の湿原に太陽光パネルを敷き詰めるような補助金制度を大掃除する」と発言していました。
「野立て太陽光の終焉」という歴史的転換点
この政策変更は、日本の太陽光発電市場における歴史的転換点です。
2012年度にFIT制度が開始されて以来、メガソーラーを中心とした野立て太陽光は急拡大し、累計90GW規模の市場を形成してきました。しかし2027年度からは、出力10kW以上の地上設置型がすべてFIP対象外となるため、新規の野立て太陽光案件は支援なしで事業性を確保しなければなりません。
「支援は役目を終えた」という判断の背景には、発電コストの大幅な低下があります。太陽光パネルの大量生産技術により、かつて40円/kWhの買取価格が必要だった事業が、現在は市場価格でも成立する水準まで低下しました。これは再エネが補助金依存から経済合理性で成立するフェーズに移行したことを意味します。
新潟県営メガソーラーのように、FIT価格40円/kWhで採算を見込んでいた優良案件ですら、出力制御により予想発電量を下回る状況に陥っています。発電コストの低下と出力制御の増加という両方の要因が、「もはや補助金で支える必要はない」という政策判断につながったと考えられます。
「屋根置き重視」への明確な政策的シフト
支援廃止の対象が「地上設置型」に限定され、「屋根設置型の事業用設備と家庭用設備」は支援継続となる点は、極めて重要な政策的メッセージです。
環境省が国・独法の再エネ調達時に環境破壊チェックを義務化したように、「環境破壊を伴う野立て太陽光」から「環境負荷の少ない屋根置き太陽光」へのシフトが明確になりました。この方向性は、前回の記事で触れた環境破壊チェック制度とも完全に一致しています。
三井ホームと東京ガスが開発した薄型軽量パネル、カルコパイライトやペロブスカイトといった次世代型太陽電池など、屋根置き・既存建物への設置技術が注目される背景には、この政策的シフトがあります。新たな土地開発を伴わない、既存のインフラを活用した太陽光発電が今後の主流になっていくでしょう。
再エネ賦課金3.1兆円という国民負担の可視化
2025年度の再エネ買取総額4.9兆円中、事業用太陽光への支払いが3兆円(6割)を占め、買取総額の3.1兆円が再エネ賦課金として国民の電気料金に上乗せされているという数字は、FIT制度の構造的課題を浮き彫りにしています。
FIT制度は、再エネ普及という大義のもと、国民負担によって支えられてきました。家庭の電気料金明細を見ると、毎月「再エネ賦課金」という項目があり、多くの家庭で月数百円から千円以上が徴収されています。この積み重ねが年間3.1兆円という巨額の負担となっているのです。
高市首相が「釧路の湿原に太陽光パネルを敷き詰めるような補助金制度を大掃除する」と発言した背景には、環境破壊に加えて、この巨額の国民負担への批判があります。特に、環境を破壊しながら国民負担で支えられる事業への疑問が、政策転換の大きな要因となりました。
支援廃止により、2027年度以降の新規メガソーラーは市場価格でしか売電できなくなるため、PPAや自家消費型など、FIT非依存のビジネスモデルが標準となります。補助金依存から経済合理性重視への転換が制度的に強制されることになります。
環境アセスメント対象の拡大という開発ハードルの上昇
政府は環境影響評価(環境アセスメント)の対象を、現行の出力4万kW以上から引き下げて拡大します。具体的な数値は明示されていませんが、これまで環境アセスメント不要だった規模の案件でも、今後は実施が求められる可能性があります。
環境アセスメントには、相当な時間とコストがかかります。動植物の生態調査、景観への影響評価、地域住民への説明会など、数年にわたる手続きが必要となるケースもあります。この開発ハードルの上昇により、短期的な利益を狙った不適切な開発が抑制される効果が期待されます。
釧路湿原国立公園周辺のメガソーラーでの法令違反が象徴的な事例として挙げられているように、適切な環境配慮を欠いた開発への批判が、この規制強化につながっています。今後は、環境アセスメントをクリアできる適切な開発計画を持つ事業者のみが、新規案件に参入できる構造になります。
2026年度までの駆け込み需要と既設案件への影響
支援廃止が2027年度からと明示されたことで、2026年度までに申請を済ませようとする案件が集中する可能性があります。特に、すでに開発計画が進行中の案件や、用地確保が完了している案件では、駆け込み申請の動きが予想されます。
ただし、環境アセスメント対象の拡大により、従来よりも開発ハードルが上がるため、短期間での申請完了は困難になる可能性があります。適法性・環境適合性を担保できる案件に絞られることで、駆け込み需要も質的な選別が進むでしょう。
一方、すでに稼働している既設案件への影響は限定的です。FITやFIPの買取価格は、認定時の価格が事業期間中(通常20年間)保証されるため、稼働済みの発電所の収益性が直ちに悪化するわけではありません。しかし、長期的には出力制御の増加や、市場環境の変化による影響を受ける可能性があります。
営農型・垂直型など特殊形態の扱いに注目
今回の政策変更では「地上設置型」が支援対象外とされていますが、営農型太陽光や垂直型駐車場設置型などの特殊形態の扱いが明確ではありません。
営農型太陽光は、一本足架台や垂直型パネルなど技術革新が進んでおり、「農業と発電の両立」という観点から環境負荷が少ないモデルとして評価される可能性があります。また、垂直型パネルを使った駐車場や、既存建物の壁面を活用した設置なども、新たな土地開発を伴わないため、支援継続の余地があるかもしれません。
ヤンマーホールディングスが「SAVE THE FARMS by YANMAR」という理念のもと営農型太陽光に本格参入したように、大手企業が農業の持続可能性という課題解決の手段として取り組む営農型は、政策的にも支援される可能性があります。制度の詳細が明らかになるまで、この点は注視する必要があります。
今後の太陽光事業に求められる3つの条件
この政策転換により、今後の太陽光事業に求められる条件が明確になりました。
環境適合性の担保
環境破壊を伴わない開発が絶対条件となります。環境アセスメントをクリアし、地域との合意形成を適切に進め、生態系や景観への影響を最小化する設計が不可欠です。前回の記事で触れた環境破壊チェック制度とも連動し、「環境に配慮した適切な開発」が標準仕様となります。
補助金非依存の経済合理性
2027年度以降の新規案件は市場価格でしか売電できないため、FIT・FIP非依存で事業性が成立するビジネスモデルが必要です。PPAや自家消費型、LDES併設による需給調整市場への参加など、多様な収益源を確保する設計力が求められます。
既存インフラの活用
屋根置き、壁面設置、駐車場上部など、新たな土地開発を伴わない設置形態が推奨されます。薄型軽量パネルや次世代型太陽電池など、既存建物に適した技術の重要性が高まります。
新しいフェーズへの移行
2012年度のFIT開始から15年間続いた野立て太陽光中心の成長モデルは終焉を迎えます。2027年度からは、屋根置き中心、FIT非依存、環境適合性重視という新しいフェーズに移行します。
再エネ事業者にとって、短期的には2026年度までの駆け込み需要への対応、中長期的には屋根置き市場への本格シフト、FIT非依存モデルの設計力強化、既設案件のO&M・改修といったストック市場への注力が求められます。
政策転換の背景には、環境破壊の社会問題化と再エネ賦課金3.1兆円という国民負担への批判があります。「環境に配慮した適切な開発」と「補助金に依存しない経済合理性」が、今後の太陽光事業の前提条件となります。
この変化は、業界にとって厳しい転換を迫るものですが、同時に健全な成長への道筋を示すものでもあります。適切な開発を行ってきた事業者にとっては、不適切な事業者が淘汰され、正当に評価される環境が整うことになります。
補助金依存から脱却し、経済合理性と環境適合性を両立させた太陽光事業が、真に持続可能なエネルギーシステムの一翼を担う時代が始まります。
