みなさん、こんにちは!

今回は、新潟県と福岡県で始まった次世代型太陽電池「カルコパイライト」の実証実験についてまとめました。
「薄い・軽い・曲がる」という特徴を持つこの新しい太陽電池が、豪雪地帯や従来では設置が難しい場所でどこまで実用になるのか、注目が高まっています。

国産メーカーによる技術である点でも期待が寄せられており、積雪地域や道路インフラといった“これまで導入が進まなかった領域”での可能性を探る動きが活発化しています。

カルコパイライト太陽電池とは何か

カルコパイライト太陽電池は、銅・インジウム・ガリウム・セレン(CIGS)を材料とする化合物半導体を使った薄膜型太陽電池です。

カルコパイライト太陽電池の特徴

  • 厚さわずか0.8mm
  • 重さ約1kg
  • 曲げられる柔軟性を持つ
  • 既設建物の窓や壁にも貼れるような「シート状」形状

従来のシリコン系モジュールでは設置が難しかった、

  • 湾曲屋根
  • 壁面
  • 荷重制限のある建物

といった場所への応用が期待されている点が特徴です。

新潟県:雪国での実証が意味するもの

新潟県では、県庁の窓や妙高市の公共施設にカルコパイライト太陽電池を設置し、雪国での発電効果と積雪荷重への耐性を検証する実証が始まりました。

新潟の実証内容

  • 県庁廊下の窓・妙高市公共施設に設置
  • 豪雪地帯での利用可能性を検証
  • 雪の反射光をどれだけ拾えるか
  • 積雪荷重に耐えるか

豪雪地帯は一般的に太陽光発電の導入が進みにくい地域ですが、軽量かつ柔軟なパネルであれば、“雪の重さ”による破損リスクを低減できる可能性があります。

福岡県:道路設備への独立電源としての可能性

名古屋電機工業は、福岡県内3カ所の道路情報板や監視カメラにカルコパイライト太陽電池を設置し、以下を検証します。

福岡の実証ポイント

  • 道路情報板・監視カメラの電源として利用
  • 発電量・耐久性の検証
  • 将来の“外部電源不要(独立電源)”化も視野
  • ペロブスカイト太陽電池とのタンデム化に向けた基礎データ取得

道路設備は外部電源敷設のコストが大きく、軽量・後付け可能な太陽電池との相性が良い分野です。

設置制約を突破する技術的意義

今回の二つの実証が示しているのは、「これまで太陽光発電が難しかった領域」に向けた実装可能性の検証だと言えます。

技術的ポイント

  • 湾曲面や荷重制限のある場所への設置可能性
  • 豪雪地帯での実証(積雪・反射光の活用)
  • 道路設備など外部電源確保が難しい設備への応用
  • タンデム化によるさらなる性能向上の余地

導入障壁の大きかった分野での課題を、物理特性の“軽さ・薄さ・柔軟性”で突破しようとしていることがよく分かります。

今回の実証は、「設置が難しい場所に太陽光をどう使うか」という従来の課題に対し、具体的な解決策を提示しうる取り組みです。

  • 豪雪地帯での発電と耐雪性
  • 道路設備の独立電源化
  • 湾曲・荷重制限のある建物への応用
  • 国産技術としての新たな競争力

これらはすべて、太陽光発電の“適用範囲の拡大”につながります。

EPCとしても、「これまで提案できなかった案件への再アプローチ」という実務的な価値が生まれる可能性が高く、積雪地域を拠点とする私たちにとっても重要な技術動向です。

実証結果が明らかになることで、雪国・インフラ・既設建物といった新たな市場で、具体的な活用モデルが一気に進む可能性があります。

今後の進展を引き続き追いながら、地域での活用可能性も検討していきたいと思います。