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日本発のグリーンテック企業・PXPが、ペロブスカイトとCISを組み合わせた「ペロブスカイトCIS軽量タンデム太陽電池モジュール」で、NEDOの2025年度技術開発事業に採択されました。

わずか 0.7mm厚・0.7kg/m² の“曲がる太陽電池”として注目されており、従来のペロブスカイトSiタンデムより高い理論変換効率も期待されています。

NEDOとは

NEDOとは、「国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構」の略称です。エネルギー・地球環境問題の解決や産業技術の強化のため、技術開発を支援する政府機関で、民間企業などへの助成金交付や研究開発の推進、実用化の支援を行っています。

NEDO採択で加速する「ペロブスカイトCISタンデム」の実用化

PXPが開発する新モジュールは、ペロブスカイトとカルコパイライト(CIS)を重ねた構造で、軽量・薄型・フレキシブルという全く新しい価値を持つ太陽電池です。

主な特徴

  • 重量:0.7kg/m²(一般的なパネルの約1/20〜1/30)
  • 厚さ:0.7mm(“フィルムに近い”太陽電池)
  • フレキシブルで割れない
  • 高い理論変換効率(Siタンデムより有利な波長制御)
  • 大面積化・耐久性向上も研究対象に

これまで「重量」「形状」「設置角度」などの制約で諦めていた場所にも展開できる可能性が高まり、特に 非平滑面・曲面・軽量屋根で大きな価値が生まれます。

新しい応用領域 ― 太陽電池の“設置可能範囲”が一気に広がる

PXPは、この技術を産業屋根・営農・モビリティ・インフラまで広く展開する計画を示しており、従来のパネルでは難しかった領域が次々と候補に入ってきます。

潜在的に広がる適用領域

  • 荷重制約の厳しい工場や倉庫
  • アーチ型・波型など曲面屋根
  • 仮設建築物・簡易構造物
  • 道路・通信インフラ
  • 移動体(EV・バス・トレーラーハウス)

これは太陽光発電の“設置条件そのもの”を塗り替えるインパクトがあります。

カルコパイライト型太陽電池の先行実証も示す「実装ロードマップの短縮」

今回発表されたタンデム型よりも先に、PXPはCIS単体の軽量太陽電池で実証を進めています。

進行中の実証例

  • 小型EVによる走行時の発電
  • トレーラーハウスの電源補助
  • 自販機への取り付け(消費電力量の補助)
  • 路線バスでの燃費改善実験

実際の産業機器・モビリティに取り付けて検証している点は、市場投入までの距離が近いことを示す重要な兆候です。

多領域の企業と連携した「実機検証」が動いているため、研究 → 実証 → 社会実装のサイクルが通常より速い可能性があります。

「できなかった案件」が「提案可能案件」に変わる

EPCにとって、この技術の最大の価値は“案件化の可能性が一気に広がる”ことです。

特に効果が大きい領域

  • 荷重制限で太陽光を諦めていた工場
  • スレート・折板屋根でも負荷計算が厳しい案件
  • 波型・アーチ型など曲面屋根の提案
  • 仮設建物(イベント・災害対応拠点など)
  • インフラ設備(道路標識・通信基地局・非常電源)
  • モビリティ領域との協業案件

さらに、超軽量モジュールは施工工程の簡略化にもつながり、安全性向上・工期短縮・総コスト低減というメリットも期待できます。

一方で、商用化時の単価や耐久性に関する保証条件は重要な論点となるため、今後の情報開示は引き続きチェックが必要です。

太陽光の「置ける場所」が根本から変わる

PXPのペロブスカイトCIS軽量タンデム太陽電池は、太陽光発電の応用領域を根本から広げる技術です。

  • 軽い/薄い/曲がる → 設置制約が激減
  • 高効率化 → 産業用途でも実用性
  • NEDO採択 → 実用化フェーズへの確かな前進
  • 多領域での実証実験 → 市場展開のスピードが速い

今後、産業屋根・モビリティ・インフラなど、“これまで太陽電池が置けなかった世界”に一気に可能性が広がります。

EPCとしても、新規提案領域を拡大できる非常に重要な技術であり、今後の開発進捗と実証結果を追っていく価値が大いにあります。