みなさん、こんにちは!

今日は、政府が使用済み太陽光パネルのリサイクル計画策定をメガソーラー事業者に義務化する新制度案を検討しているニュースを共有します。

大量の使用済みパネルを出す事業者に排出実施計画の策定・提出を義務づけ、国が定める基準に照らして不十分と判断された場合は勧告・命令を行う仕組みです。

重要なのは、政府が2024年に検討していた「拡大生産者責任」(製造業者がリサイクル費用を負担)案が見送られ、最終的には排出事業者(発電所オーナー)が責任を負う仕組みに変更されたことです。これは、発電事業者にとって将来のリサイクルコストが確実に発生することを意味します。

2040年代にパネル廃棄量が年50万トンに迫る中、太陽光発電事業者の6割以上がリサイクルを実質的に検討していないという調査結果もあり、この「先送り」が許されなくなる転換点となります。

政府が示す新制度案の概要

環境省と経済産業省が1月23日の合同審議会に示す新制度案では、以下の内容が盛り込まれています。

メガソーラー事業者への義務化

  • 排出の30日前までに処分方法などを記した排出実施計画の策定・提出を義務化
  • 国が定める基準に照らしてリサイクルの取り組みが著しく不十分と判断された場合、
    国は計画変更などの勧告・命令を実施

中小発電事業者への対応

  • リサイクルを努力義務化
  • 国の指導・助言の対象とする

パネル製造業者への要求

  • 環境に配慮した製品設計を促進

リサイクル事業者の認定制度

  • 効率的なリサイクル技術を持つリサイクル事業者の認定制度を創設
  • 認定事業者は都道府県ごとの廃棄物処理法の許可を取らずに全国展開が可能

合同審議会で了承されれば、衆院選後の国会での法案提出を目指すとしています。

事業者に要求されるリサイクルの水準は今後国が定める判断基準次第となり、具体的な基準はこれから詰められることになります。

「拡大生産者責任」見送りという構造転換

今回の制度案で最も重要なのは、政府が当初検討していた全面的なリサイクルの義務化を見送ったことです。

政府が2024年にとりまとめた案は、製造業者が使用後の回収・リサイクルまで責任を負う「拡大生産者責任」の原則に基づき、製造業者(海外製造分は輸入販売業者)にリサイクル費用を負担させる内容でした。

しかし、所有者がリサイクル費用を負担する自動車や家電など他のリサイクル関連法と整合性が取れないと内閣法制局から指摘を受け、法案を練り直していました。

最終的には、排出事業者(発電所オーナー)が責任を負う仕組みに変更されました。

「拡大生産者責任」であれば、パネル製造業者(海外製造分は輸入販売業者)がリサイクル費用を負担するため、発電事業者の負担は軽減されました。

しかし、排出事業者負担に変更されたことで、発電事業者にとって将来のリサイクルコストが確実に発生することになります。

これは、太陽光発電事業の経済性評価において、20〜30年後のリサイクルコストを織り込むことが不可避となったことを意味します。

2040年代に年50万トン、事業者の6割以上が「検討していない」

パネルの耐用年数は一般的に20〜30年とされています。環境省によると、国内のパネル廃棄量は2040年代にピークを迎え、年50万トンに迫る見込みです。

しかし、太陽光発電事業者の6割以上がリサイクルを実質的に検討していないとの調査結果があります。

検討していない理由

  • 埋め立て処分に比べてコストが高い
  • リサイクル施設がない地方もある

2040年代に年50万トンに迫る廃棄パネルに対して、現状のリサイクル体制は圧倒的に不足しており、多くの事業者が「先送り」している状態です。今回の制度化により、この「先送り」は許されなくなります。

メガソーラー事業者は排出の30日前までに計画書を提出し、国の基準を満たす必要があります。基準の詳細は今後国が定めますが、以下のような内容が求められる可能性があります。

  • 認定リサイクル事業者の活用
  • リサイクル率の達成
  • 費用の事前積立

「検討していない」6割の事業者は、今後数年以内に具体的なリサイクル計画を策定せざるを得なくなり、これはEPC事業者にとって大きなビジネス機会となります。

認定リサイクル事業者制度が全国展開を後押し

新制度案では、効率的なリサイクル技術を持つリサイクル事業者の認定制度を設けるとしています。

従来、廃棄物処理事業者は都道府県ごとに廃棄物処理法の許可を取得する必要がありましたが、認定事業者は都道府県ごとの許可を取らなくても全国で事業を展開できるようになります。

これは、リサイクル事業者にとって事業展開の障壁を大きく下げるものであり、全国規模でのリサイクル体制の構築を後押しします。

認定リサイクル事業者との提携関係を早期に構築することで、発電所オーナーへの紹介、リサイクル費用の見積もり取得、委託契約の仲介などを行い、「建設からリサイクルまでワンストップ」のサービス提供が可能になります。

EPC事業者が取り組むべき5つのリサイクルビジネス

リサイクル計画義務化は、太陽光EPC事業者の事業範囲を大きく拡張します。

01

新規案件へのリサイクル計画の初期組み込み

2026年以降の新規案件では、設計段階からリサイクル計画を組み込むことが標準となります。
下記を事業計画に明記し、金融機関や投資家に対して「廃棄まで責任を持つ事業」であることを示す必要があります。
EPC事業者として、リサイクル費用の積算、認定リサイクル事業者の紹介、廃棄計画の策定支援までを提案パッケージに含めることが差別化要素となります。

  • 20〜30年後の撤去費用の積算
  • リサイクル費用の見積もり
  • 認定リサイクル事業者への委託契約案
  • 費用積立スキームの提案
  • 廃棄計画のロードマップ
02

既設発電所へのリサイクル計画策定支援

「リサイクルを実質的に検討していない」既設発電所オーナーに対して、排出実施計画の策定支援サービスが急務です。
特にメガソーラー事業者は義務化対象となるため、30日前までの計画書提出、国の基準適合、認定リサイクル事業者との契約など、具体的な対応が必要になります。
EPC事業者として、このコンサルティングサービスが新たな収益源となります。

  • 発電所の稼働状況からパネル廃棄時期を逆算
  • リサイクル計画のロードマップ提示
  • 排出の30日前までの計画書提出支援
  • 国の基準適合確認
  • 認定リサイクル事業者との契約仲介
03

認定リサイクル事業者との提携ネットワーク構築

新制度では効率的なリサイクル技術を持つ事業者の認定制度が創設され、認定事業者は都道府県ごとの許可なしに全国展開が可能になります。
EPC事業者として、これらの認定リサイクル事業者と早期に提携関係を構築し、以下のサービスを提供できます。
「建設からリサイクルまでワンストップ」のサービス提供が可能になります。

  • 発電所オーナーへの認定リサイクル事業者の紹介
  • リサイクル費用の見積もり取得代行
  • 委託契約の仲介
  • リサイクル実施時の立会・確認
04

リサイクル費用積立スキームの提案

20〜30年後のリサイクル費用を確実に確保するため、毎年の売電収益から一定割合を積み立てるスキームの提案が有効です。
金融機関との連携により、これらを組み込んだ財務管理サービスを提供できれば、発電所オーナーの長期的な安心につながります。

  • 売電収益の1〜3%程度を毎年積立
  • リサイクル費用専用の積立口座設定
  • 信託スキームの活用
  • 積立不足時の警告機能
  • 金融機関との連携
05

リユース優先のライフサイクル設計

リサイクルよりもコストが低いリユース(再使用)を優先するライフサイクル設計が有効です。
清水建設や福岡県の事例が示すように、使用済みパネルのリユース市場が立ち上がりつつあります。
リユースが可能であれば、リサイクルコストを大幅に削減できます。
EPC事業者として、パネルの品質維持、診断、リユース市場へのアクセスまでを提供することで、発電所オーナーの廃棄コストを最小化できます。

  • 20〜30年後にリユース可能な品質を維持するO&M体制
  • リユースパネルの診断・評価サービス
  • リユース業者とのマッチング支援
  • リユース不可の場合のリサイクルへの移行

「廃棄まで責任を持つ」が新たな競争力に

政府のリサイクル計画義務化は、太陽光発電事業における「廃棄責任」を明確化する転換点です。

メガソーラー事業者には排出実施計画の策定・提出が義務化され、国が不十分と判断すれば勧告・命令が下されます。中小事業者も努力義務化され、国の指導・助言対象となります。

一方で、事業者の6割以上がリサイクルを実質的に検討していないという現実があり、2040年代に年50万トンに迫る廃棄パネルへの対応は急務です。

「拡大生産者責任」見送りで排出事業者負担となったことで、発電事業者にとって将来のリサイクルコストは確実に発生します。

「廃棄まで責任を持つ」という姿勢を明確に示せる企業が、2026年以降の太陽光市場で選ばれ続けます。