みなさん、こんにちは!

今回は、「薄型軽量パネル×オンサイトPPA×バーチャルPPA」という国内初の取り組みと、ドイツで急拡大する屋根置き太陽光の最新動向をもとに、日本の太陽光市場がいま大きな転換点を迎えていることについて整理します。

三井ホーム×東京ガスは、耐荷重制約と余剰電力の活用という屋根置き特有の課題を一挙に解決するスキームを構築。さらにドイツでは太陽光115GWのうち約7割が屋根置きで、日本との構造的な違いが鮮明になってきました。

国内初、薄型軽量パネルが耐荷重問題を根本から解消

三井ホーム埼玉工場では、従来型の約40%の重量に抑えた薄型軽量パネルを採用することで、耐荷重制約で設置が難しかった屋根への1MW級導入を実現しました。

設置面積6,310㎡
太陽光容量1,076kW
年間発電1,170MWh
CO2削減506トン(国内全工場の44%削減)

特に工場・物流倉庫・店舗は「広い屋根面積を持つのに、耐荷重がボトルネックで導入できない」例が多く、薄型軽量パネルはまさにこの課題の決定打となる可能性があります。

オンサイト×バーチャルPPA:余剰電力問題を“仕組み”で解決

今回の取り組みでは「オンサイトPPAで消費+余剰分をバーチャルPPAで他工場に供給」というハイブリッドモデルを採用。

これにより、

  • 設置場所の電力需要に最適化する必要がない
  • 屋根面積をフル活用できる
  • 複数拠点を持つ企業の脱炭素と整合性が取れる

という新しい設計思想が実現しました。

従来は「需要が小さいから屋根全面には載せない」という制約がありましたが、バーチャルPPAで“拠点をまたいで環境価値を活用できる”ため、設置規模を需要に合わせる必要がなくなります。

ドイツ115GWの真実、鍵は“屋根置き7割”という構造

日本の太陽光は90GW程度で伸びが鈍化していますが、ドイツは2025年に115GWへ到達し、なお拡大を続けています。

特に注目すべきは構成比、

ドイツ屋根置き:7割(住宅38%・企業29%)
野立て:3割
日本屋根置き:4割
野立て:6割

政府や業界では「平地が少ないから限界」という説明が多いですが、実態は屋根置きが活かされていない点にあります。

さらにドイツでは、

  • 800Wのバルコニー発電が100万件突破
  • 都市部の分散型電源として急拡大
  • コンセント接続の手軽さで普及加速

と、日本ではほぼ未開拓の領域が成長しています。

日本は2035年に屋根置き160GWの可能性──未開拓市場は70GW以上

自然エネルギー財団による試算では、日本の屋根置きポテンシャルは160GW(2035年末)。
現在の屋根置き導入量は約40GW程度のため、70〜100GW規模の未開拓市場が残っている計算になります。

さらに追い風として、

  • 屋根置き太陽光の設置報告義務化(2027年度以降)
  • ペロブスカイト太陽電池の普及
  • 薄型軽量パネルの技術成熟

が進めば、屋根置き市場は構造的に成長フェーズへ突入します。

PPA・分散型・新工法の“三重拡大”

屋根置きの第二フェーズは、次の三軸から進展すると考えられます。

01

技術軸:薄型軽量・ペロブスカイトで耐荷重問題が消える

  • 工場・病院・倉庫など、既存建物への提案が一気に広がる
  • 従来は“不可”だった建物が一斉に“可”へシフト
02

事業モデル軸:オンサイト×バーチャルPPAが標準に

  • 余剰電力が課題ではなくなる
  • 拠点間で環境価値を融通する時代へ
03

小規模分散型軸:バルコニー発電が都市部の新市場に

  • 数百W〜1kW級の市場が新たに形成
  • 集合住宅・都市部の潜在需要が顕在化

日本はまだ屋根置きのポテンシャルを使い切れておらず、今後10年で大きな成長が見込まれます。

  • 薄型軽量パネルで“載せられない屋根”が消える
  • オンサイト×バーチャルPPAで“需要制約”が消える
  • 制度や海外事例が“屋根置きの本格拡大”を後押し

この動きは、EPCはもちろん、企業の脱炭素、自治体のエネルギー戦略、そして一般家庭にまで影響が及ぶ変化です。

日本の太陽光市場は、ここからもう一段階伸びる可能性があります。