みなさん、こんにちは!
今日は、脱炭素政策の停滞が目立つ日本と、再エネ導入で世界的に台頭する途上国の動きを対比したニュースを取り上げます。
国の取り組みだけでは解決できない“再エネ転換の現実”が、国内外で浮き彫りになっています。
ガソリン暫定税率廃止が示す「逆風と停滞」
50年続いたガソリン暫定税率が廃止され、ガソリン価格は下落へ。
生活者にとっては朗報ですが、燃料価格が下がれば車利用が増え、CO2排出がむしろ増加するリスクがあります。
同時に国内再エネ導入は停滞気味です。
| 洋上風力 | 三菱商事などが秋田・千葉で撤退 |
| 太陽光 | メガソーラーへの反対・土地制約の強まり |
| 化石燃料 | 発電の7割がいまだ化石燃料に依存 |
国際的には脱炭素の動きが鈍化し、世界のCO2排出量は過去最多を更新。
COP30でも1.5℃目標は到底届かない現実が指摘されています。
企業が主導する「国任せにしない脱炭素」
こうした状況の中で存在感を増しているのが民間企業です。
| Apple | 2030年までにサプライチェーン全体を100%再エネ化 |
| Sony | 主要取引先に2030年度までの再エネ電力調達を要請 |
企業が再エネを求めるほど、供給側(電力会社・事業者)も変わらざるを得ない。
つまり、脱炭素は“国主導”から“企業主導”へと重心が移りつつあるということです。
再エネ調達が「企業の存続条件」になりつつある現実は、EPCとしても大きな意味を持ちます。
世界で進む“途上国の躍進”が構図を塗り替える
国際的には、再エネ拡大の主役が先進国から途上国へと移行しています。
特にモロッコ・UAEの動きは象徴的です。
モロッコ
- 発電設備容量の52%を2030年までに再エネ化
- サハラ砂漠の巨大太陽光発電
- スペインへの送電網を整備、電力輸出国へ
UAE
- 太陽光+バッテリーで原発1基分を24時間供給
- 世界最大級の蓄電併設型太陽光プロジェクトが進行中
2023~24年の世界の再エネ導入量の6割以上が途上国。
技術・資金・インフラの主導権が、完全にグローバルサウスへ移行しつつあります。
これは「先進国→途上国への支援」という従来構図の崩壊を意味し、再エネの産業競争力が国家の立地条件と意思決定のスピードに依存する時代に入ったと言えます。
企業行動と国際潮流をどう捉えるか
今回の2つのニュースから読み取れる示唆は次の通りです。
国内政策に依存しない事業計画が必要
ガソリン税廃止のように政策が揺らぐ中、長期的なエネルギー戦略は不確実性が高くなっています。自社の提案は「政策が変わっても価値が落ちない設計」が重要です。
企業の再エネ調達要求が今後の主戦場
AppleやSonyのようにサプライチェーン全体に再エネ・脱炭素を求める流れは確実に拡大します。太陽光・蓄電池の導入はコスト削減ではなく「取引条件」として扱われる未来が来ます。
世界の再エネ競争力を理解した提案が求められる
途上国の超大規模太陽光・風力・BESSの動向は、日本企業が直面する技術競争・コスト競争に直結します。
EPCとして、再エネ市場の構造変化を前提にした“グローバル動向を踏まえた設計思想”が必須になります。
変わるのは「主役」だけではなくゲームルールそのもの
日本が足踏みしている間に、世界では再エネのゲームルールが変わりつつあります。
- 「国主導」から「企業主導」へ
- 「先進国主導」から「途上国主導」へ
- 「再エネは不安定」から「再エネ+蓄電池で24時間運転」へ
エネルギー転換の主役交代はすでに始まっています。
EPCとしては、政策依存ではなく企業需要と国際潮流を軸に、再エネ導入の価値を再定義し続ける姿勢が求められます。
これからの再エネ市場は、“誰が最初に動くか”ではなく、“誰が未来のルールに適応するか”が問われるフェーズに入ったと言えます。
