みなさん、こんにちは!

今回は、農業の担い手不足や高齢化、農地減少など、深刻化する日本の農業課題に対し、「営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)」がどのように貢献できるのかを解説した記事を読み、その内容をまとめてみました。

営農型太陽光は「農業 × エネルギー」を同時に行う取り組みで、農業者に副収入をもたらすだけでなく、高温障害対策や農地保全にも寄与する可能性を持っています。

しかし、普及が進まない現状には、制度・地域調整・事業者の姿勢など複数の壁があることが、今回の記事から見えてきました。

農業課題の解決策としての“営農型太陽光”

農業の現場では、

  • 担い手不足
  • 平均年齢69.2歳(65歳以上が7割超)
  • 高温障害・気候変動
  • 鳥獣被害
  • 農地の縮小・分散
  • 資材高騰

といった多くの構造課題が積み重なっています。
営農型太陽光は、こうした課題の一部を同時に解決しうる手段として期待されています。

営農型太陽光のメリット

  • 設備下で農業を継続しながら売電収入が得られる
  • 日陰が高温障害の軽減に役立つ
  • 所得向上による農業継続・新規就農の後押し
  • 鳥獣被害対策・農地保全にも寄与

一方で、全国の太陽光発電所(約70万件)に対し、営農型は許可件数5,351件と普及率はまだ低い状況です。

地域ごとの差も大きく、導入ゼロの県も存在するなど、「ポテンシャルと普及率のギャップ」が課題として浮かび上がっています。

普及が進まない理由は“制度”ではなく“地域合意”と“農地構造”

営農型太陽光の普及を阻んでいる大きな壁は、以下の2点に集約されます。

01

事業に適した農地の探索・集約が難しい

  • 農地は小規模・分散が多い
  • 権利移動・転用には農業委員会の許可が必要
  • 一時転用許可には周辺地域の合意形成が不可欠
  • 農地改革の名残で筆数が多い
  • 所有者・地権者が複数にまたがる

“農地の流動性の低さ”が構造的に事業化を難しくしています。

02

一部の事業者が「農業軽視」になってしまう問題

  • パネルを低く・高密度に設置してコスト優先
  • 機械作業ができない設計
  • 栽培放棄・管理放置の事例
  • 生育に必要な日照配慮が不足

本来の営農型太陽光は、発電よりも「農業継続」が主目的です。
しかし現場では、農業を犠牲にする計画も散見され、制度改正で規制強化が行われている状況です。

このように、営農型は技術ではなく、「地域の理解」×「適切な事業者」×「農業に寄り添う設計」の三位一体が揃わなければ成立しません。

官民連携が営農型普及の“現実解”となり得る理由

記事では、普及のためには自治体の積極的な関与が不可欠だと指摘しています。

行政が担うべき役割

  1. 地域の農業の将来像を描く(営農型の位置づけ整理)
  2. 適切な事業地の選定(民間の探索コストを削減)
  3. 農業継続を前提とした民間事業者を公募・選定(独自基準の設定)

これにより、

  • 地域の意見集約がスムーズに
  • 農地の集約が進む
  • 発電偏重の事業を排除
  • 地域振興・農業振興と連動したモデルが構築可能

実際に千葉県匝瑳市では、2014年の1基(50kW未満)から始まり、2024年には27基・合計6MWまで拡大。
地域基金の創設などにより、地域の信頼を獲得し、いまでは「ソーラーシェアリングの郷」と呼ばれるまでに成長しています。

自治体の関与があれば、こうした成功モデルが他地域でも再現しやすくなる可能性が高いと言えます。

営農型は“農業 × 再エネ × 地域”を繋ぐ新しい基盤になり得る

営農型太陽光は、単なるエネルギー事業ではなく、農業再生・地域振興・脱炭素を同時に実現できる数少ない仕組みです。

しかし普及の鍵は、

  • 地域合意
  • 農業理解
  • 適地探索
  • 適切な設計
  • 事業者の姿勢
  • 行政の関与

と多層的で、EPC単独では越えにくい壁が存在します。

その意味で、官民連携によって適地選定・事業者選定・基準設定を行うモデルは、今後の普及において非常に現実的かつ有効なアプローチだと感じました。

弊社としても、農業法人との連携や自治体との協働によって、地域に寄り添った営農型モデルを構築する余地は大いにあります。

営農型は普及率が低い今だからこそ、“地域に根ざす新しいモデルケース”をつくれるチャンスが大きい分野です。

今後も、農業・地域・再エネが三方良しとなる取り組みを模索していきたいと思います。