みなさん、こんにちは!

今回は、経済産業省が再生可能エネルギー支援の在り方を見直すというニュースをご紹介します。
特に注目すべきは、「再エネ賦課金の検証」と、「ペロブスカイト太陽電池への重点支援」という2つの方向性です。
再エネ政策の軸が、“量の拡大”から“質と共生”へと移行しようとしています。

経産相が示した「再エネ支援の再設計」

赤沢亮正経産相は、7日の記者会見で次のように発言しました。

再エネ賦課金による支援の必要性を検証し、次世代太陽電池や地域共生型の導入へ重点化を検討する

現在、電気料金には再エネ普及のための再エネ賦課金(1kWhあたり3.98円)が上乗せされています。
この賦課金は、FIT・FIP制度の原資として使われていますが、電気代上昇やメガソーラーによる自然破壊への懸念もあり、制度の見直しが議論されています。

政府は今後、支援対象を「国産技術」と「地域と共生する再エネ」に重点化し、従来型のメガソーラー中心の支援から脱却する方針を示しています。

ペロブスカイト太陽電池 ― “国産再エネ”の切り札

赤沢氏が特に言及したのが、ペロブスカイト太陽電池
これは日本発の次世代型太陽電池で、軽量・柔軟・高効率という特長を持ち、ビルの壁面や屋根など、既存建物への後付け設置が容易です。

また、国内製造が可能なため、中国依存が高い現行パネル構造からの脱却にもつながります。
今後、建築物一体型太陽光(BIPV)や地域分散型電源の中心技術として、政策・市場の両面での注目が高まるでしょう。

再エネ賦課金の見直し ― 「負担から投資へ」

再エネ賦課金の見直しは、単なるコスト削減ではなく、再エネの導入コスト構造そのものを再設計する動きです。

FIT初期は「普及優先」でしたが、今後は「持続可能で公平なコスト負担」へシフト。
その結果、支援対象がより効率的で高付加価値な再エネ技術へ集中し、メガソーラーのような大規模案件には支援縮小の可能性も出てきます。

再エネを「支えられるエネルギー」から「自立したエネルギー」へ――
まさに転換期を迎えています。

EPCとして注目すべきポイント

EPC・施工事業者の立場から見ると、今回の政策動向は次の2点が重要です。

01

ペロブスカイトの商用化速度を見極めること

  • 耐久性やコスト面、認証制度の整備状況によっては、採算が変わります。
  • 実証段階では“支援ありき”の事業構造に注意が必要です。
02

PPAや自己託送モデルの強化

  • 賦課金依存から市場型スキームへ移行する中で、「設計 × 施工 × 運用」を一体で提案できる企業が優位に立ちます。

ペロブスカイトや地域共生型太陽光が広がれば、建築・地域・再エネが融合した“分散電源EPCモデル”が新たな競争領域になります。

「支援から共創へ」移る再エネ政策

今回の赤沢経産相の発言は、再エネ支援が“普及フェーズ”から“成熟フェーズ”へ入ったことを象徴しています。

これからの再エネは、「どこに設置するか」「誰と共に使うか」「どう地域に還元するか」が問われる時代。
ペロブスカイトのような日本発技術と、地域共生型プロジェクトの組み合わせが、次の10年の再エネ政策をリードすることになるでしょう。