みなさん、こんにちは!
今日は、2026年4月から中規模非住宅建築物の省エネ基準が大規模建築物並みに強化され、トップランナー変圧器の第三次判断基準もスタートするニュースを共有します。
床面積300㎡以上2000㎡未満の中規模非住宅建築物に対して、用途別に定められたBEI(一次エネルギー消費性能)が引き上げられ、特に工場等では0.75(現行1.0)という厳しい基準が適用されます。
BEI達成の省エネ手法には太陽光発電の設置、建物外皮の断熱化、調光・照明制御、コージェネレーション設備などが含まれており、特に工場では屋根設置太陽光の自家消費検討が進むと予想されます。
さらに、同じく2026年度からトップランナー変圧器の第三次判断基準がスタートし、日本国内の変圧器稼働台数約386万台のうち、2001年以前の旧型変圧器が約221万台(57%)を占めることから、変圧器更新と太陽光導入を一体で提案する絶好の機会となります。
2026年4月、中規模建築物の省エネ基準が大幅強化
2026年4月1日から、新築・増改築を行う部分の床面積が300㎡以上2000㎡未満の中規模非住宅建築物の省エネ基準が大規模建築物並みに強化されます。
政府は、2050年のカーボンニュートラル実現、ならびに2030年の温室効果ガス46%削減(2013年比)を国際公約として掲げています。これらの目標を達成するには、日本のエネルギー消費の約3割を占める建築物分野における省エネ対策を加速する必要があります。
そのため、国土交通省は、ZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保を目指しており、その対象を2030年には新築、2050年にはストック(既存の住宅)の平均にまで拡大することを目標にしています。
ZEH・ZEBとは
| ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス) | 年間の一次エネルギーの収支がゼロ以下の住宅 |
| ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル) | 年間の一次エネルギーの収支がゼロ以下のビル |
つまり、使うエネルギーの量をつくるエネルギーの量が上回る建築物のことです。
用途別に引き上げられるBEI基準
具体的には、用途別に定められた省エネ基準「BEI」がそれぞれ引き上げられます。
一次エネルギー消費性能のことで、標準的な仕様を採用した場合のエネルギー消費量に対して、省エネ手法を考慮したエネルギー消費量の割合を示したものです。
BEI = 設計一次エネルギー消費量 ÷ 基準一次エネルギー消費量
BEIの数値が小さいほど省エネ性能が高いということになります。
中大規模非住宅建築物に係る引き上げ後の省エネ基準
工場等
| 現行省エネ基準(BEI) | 1.0 |
| 引き上げ後省エネ基準(BEI) | 0.75 |
事務所等、学校等、ホテル等、百貨店等
| 現行省エネ基準(BEI) | 1.0 |
| 引き上げ後省エネ基準(BEI) | 0.80 |
病院等、飲食店等、集会所等
| 現行省エネ基準(BEI) | 1.0 |
| 引き上げ後省エネ基準(BEI) | 0.85 |
現在、中規模建築物では、用途に関わらずBEIは1.0が基準値とされています。これに対して、2000㎡以上の大規模建築物については、すでにこれらの厳しい基準が適用されており、来年度から中規模建築物にも同じ基準が適用されることになります。
BEI達成の省エネ手法に「太陽光発電の設置」が含まれる
BEIは、標準的な仕様を採用した場合のエネルギー消費量に対して、省エネ手法を考慮したエネルギー消費量の割合を示したものです。
省エネ手法に含まれるもの
- 太陽光発電の設置
- 建物の外皮の断熱化
- 調光や照明の制御
- コージェネレーション設備の設置
つまり、来年度から、中規模建築物の新築・増改築において太陽光発電の導入をはじめとする省エネの必要性がさらに高まるといえます。
特に、3つの用途のうち、BEIがもっとも低く設定されている工場(0.75)においては、屋根設置の太陽光発電の自家消費などの検討が進むと予想されます。
建物断熱化や照明制御だけではBEI 0.75の達成が困難なケースが多く、太陽光導入が現実的な選択肢となります。
省エネ法でも太陽光設置面積の報告を要求
さらに、年間のエネルギー使用量が原油換算で1500kLを超える大規模工場などを対象とした省エネ法(エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律)においても、2026年度以降に提出する中長期計画書において、太陽光発電設備を設置できる面積を報告することを求める方向性を示しています。
これは、省エネ法の特定事業者約1万2000社への屋根設置太陽光目標義務化と連動する動きであり、建築物省エネ法と省エネ法の両面から、中規模以上の建築物への太陽光導入圧力が高まっています。
トップランナー変圧器第三次判断基準が2026年度スタート
同じく2026年度から、配電用変圧器のトップランナー第三次判断基準がスタートします。
省エネルギー基準を定める方式の1つで、出荷される製品の省エネルギー基準を現在商品化されている最高性能の製品以上に定めるものです。配電用変圧器は2006年からトップランナー基準が施行されており、今回が第三次の基準改定となります。
2026年度からの変更点
| 目標年度 | 2026年度 |
| エネルギー消費効率 | 区分毎に新基準のエネルギー消費効率の算定式が定められる |
| 開始時期 | 2026年4月以降、製造事業者等が出荷する配電用変圧器は新基準を達成したものでなければならない |
| 切り換え時期 | 製造事業者によって異なり、2026年初頭から実施する場合もある |
対象範囲
| 機種 | 油入変圧器、モールド変圧器 |
| 容量 | 単相10〜500kVA、三相20〜2000kVA |
| 電圧 | 高圧6kV・3kV、低圧100〜600V |
変圧器更新で期待される大きな省エネ効果
新基準トップランナー変圧器の省エネ効果は極めて大きいものです。
省エネ効果(エネルギー消費効率の比較)
| JIS C 4304(1981)規格値との比較 | 約46%の省エネ効果 |
| 第一次判断基準(JIS C 4304 2005)との比較 | 約26%の省エネ効果 |
日本国内での変圧器稼働台数は、2021年度時点で約386万台(油入351万台、モールド35万台)と推定されています。
このうち更新推奨時期の20年を経過している2001年以前の変圧器は約221万台、57%を占め、新基準のトップランナー変圧器へのリプレイスにより大きな省エネ効果が期待できます。
これら旧型変圧器の更新促進は、地球温暖化の環境問題として早急に取組んでいかなければならない課題とされています。
中規模建築物という「巨大な未開拓市場」
床面積300㎡以上2000㎡未満の中規模非住宅建築物は、全国に膨大な数が存在します。
対象となる建築物の例
- 中小規模の工場
- 倉庫
- 事務所ビル
- 学校
- ホテル
- 商業施設
- 病院
これらはあらゆる業種に分散しており、これまで省エネ規制が緩かったため太陽光導入が進んでいませんでした。
2026年4月からの基準強化により、これらの建築物の新築・増改築時にBEI達成が義務化されます。
特に工場等のBEI 0.75は厳しい基準であり、建物断熱化や照明制御だけでは達成が困難なケースが多く、屋根設置太陽光の自家消費が現実的な選択肢となります。
事務所・学校・ホテル・百貨店等のBEI 0.80も同様に、太陽光導入の必要性が高まります。
省エネ法の特定事業者約1万2000社への屋根設置太陽光目標義務化(2026年度〜)と合わせて、中規模建築物はEPC事業者にとって巨大な未開拓市場となります。
変圧器更新という「隠れた省エネ機会」
トップランナー変圧器第三次判断基準のスタートは、一見すると太陽光とは無関係に見えますが、実は密接に関連しています。
日本国内の変圧器稼働台数約386万台のうち、2001年以前の旧型変圧器が約221万台(57%)を占め、これらを新基準トップランナー変圧器に更新すれば、第一次判断基準比で約26%の省エネ効果が期待できます。
重要なのは、変圧器更新のタイミングが太陽光導入の絶好の機会となる点です。
中規模工場や商業施設が変圧器を更新する際、同時に屋根置き太陽光を導入すれば、受変電設備の一体的な最適化が可能になります。
特に自家消費型太陽光では、変圧器の容量設計と太陽光発電出力のバランスが重要であり、変圧器更新時に一括提案することで、設備全体の省エネ効果を最大化できます。
変圧器の更新が「隠れた省エネ機会」となります。
EPC事業者が取り組むべき5つの戦略
中規模建築物の省エネ基準強化とトップランナー変圧器基準スタートは、EPC事業者に複合的な事業機会を提供します。
中規模建築物への体系的アプローチ
床面積300㎡以上2000㎡未満の中規模非住宅建築物の新築・増改築情報を体系的に収集する仕組みが必要です。省エネ基準達成が必要な案件を早期に把握し、太陽光導入を含めた省エネ提案を設計段階から行うことが重要です。
- 建築確認申請情報の定期的なチェック
- 建設会社との提携関係構築
- 設計事務所へのアプローチ
- 地域内の中規模工場・倉庫・商業施設のターゲットリスト整備
BEI達成シミュレーションの標準化
顧客に対して「この建築物がBEI基準を達成するには何が必要か」を明確に示すシミュレーションツールが重要です。下記を定量的に示すことで、太陽光導入のメリットを明確化し、受注確度を高められます。
- 建物断熱化の効果
- 照明制御の効果
- 太陽光発電の効果
- 各種省エネ手法の組み合わせパターン
- 初期投資対効果
- ランニングコスト削減額
- 補助金活用の可能性
変圧器更新との一体提案
2001年以前の旧型変圧器を使用している工場・商業施設に対して、変圧器更新と太陽光導入を一体で提案することで、受変電設備全体の最適化と省エネ効果の最大化を実現できます。日本電気工業会が製造事業者によっては2026年初頭から新基準適合変圧器への切り換えを実施すると示しているため、早期のアプローチが有効です。
- 受変電設備全体の最適化
- 太陽光発電出力と変圧器容量のバランス最適化
- 工事の一括発注によるコスト削減
- 補助金活用の可能性
- 省エネ効果の最大化
建築・設備業者との連携強化
中規模建築物の省エネ基準達成には、建築設計、空調設備、照明設備、太陽光発電など複数の専門領域の統合が必要です。EPC事業者として、建築会社、設計事務所、設備業者との連携体制を強化し、「省エネ基準達成のワンストップソリューション」を提供できる体制を構築することで、競合との差別化が可能になります。
- 建築設計段階からの参画
- 各専門業者との役割分担の明確化
- BEI達成のための統合的な提案
- 施工段階での調整・管理体制
用途別の標準提案パッケージ開発
工場等(BEI 0.75)、事務所等(BEI 0.80)、病院等(BEI 0.85)と用途別に基準が異なるため、それぞれに最適化された標準提案パッケージを開発することが効率的です。用途特性に応じた提案テンプレートを用意することで、提案スピードと品質を向上できます。
- 工場向け:「屋根置き太陽光+高効率変圧器+LED照明+空調最適化」
- 事務所向け:「屋根置き太陽光+断熱強化+照明制御+BEMS導入」
- 商業施設向け:「屋根置き太陽光+高効率空調+LED照明+デマンド制御」
「建築物の脱炭素化」支援という新たな事業領域
2026年4月からの中規模非住宅建築物の省エネ基準強化とトップランナー変圧器第三次判断基準スタートは、EPC事業者にとって新たな市場機会の扉を開きます。
床面積300㎡以上2000㎡未満という中規模建築物は全国に膨大に存在し、これまで省エネ規制が緩かったため太陽光導入が進んでいませんでした。
特に工場等のBEI 0.75という厳しい基準達成には屋根設置太陽光が現実的な選択肢となり、変圧器更新との一体提案により受変電設備全体の最適化も可能です。
省エネ法の特定事業者約1万2000社への屋根設置太陽光目標義務化と合わせて、「建築物の脱炭素化」支援がEPC事業者の重要な事業領域となります。
「野立て太陽光」から「建築物屋根置き太陽光」へ——2026年4月は、太陽光市場の構造転換を象徴する節目となります。
