みなさん、こんにちは!

今日は、太陽光パネルのリユース市場が急速に拡大しているニュースをご紹介します。
丸紅と浜田の合弁会社「リクシア」が提供するリユース・リサイクルのワンストップサービスを軸に、リパワリング需要の増加によって国内循環型のエコシステムが大きく動き始めています。

IGアリーナが“リユースパネルによるオフサイトPPA”を採用

名古屋の多目的総合施設「IGアリーナ」では、使用済み太陽光パネルを再利用した発電電力によるオフサイトPPAを導入します。
設備更新に伴い撤去されたパネルのうち、品質検査で合格したものを再利用する仕組みです。

パネル供給丸紅×浜田の合弁「リクシア」
施設供給中部電力ミライズによるオフサイトPPA
発電規模パネル出力約90kW
初年度発電量約7.5万kWh(アリーナ大型ビジョン 365日分に相当)

既にCO2フリー電気を使用しているIGアリーナですが、ここに“追加性のある再エネ”としてリユースパネルの電力を組み合わせることで、環境負荷低減と資源循環の両立を図ります。

リクシアが提供する「ワンストップ型リユース&リサイクル」の広がり

リクシアは、使用済みパネルを検査し、リユース可能品の買取・保証付供給まで対応するワンストップサービスを展開。
現在、約9000枚がweb登録済みで、旧型モデルのストック需要にも応えています。

ポイントは以下の通りです。

  • 品質検査に合格したパネルのみリユース
  • 3年保証 → 将来的には10年保証を検討
  • メーカー廃番品の交換需要にも対応
  • リユース不可品は適正リサイクル企業へ誘導
  • 全国で処理ネットワークを整備中(排出地の自治体内で処理を徹底)

EPCや大手発電事業者の依頼にも対応しており、国内市場で本格的な「循環スキーム」といえる水準に到達しつつあります。

リパワリングの加速で“想定より早い”パネル大量発生フェーズへ

当初、使用済みパネルの多くは自然災害や保険対応による早期撤去が中心と見られていました。しかし直近1年間で状況が一変。

リパワリング(設備更新)案件からのリユース見積もり依頼が急増 → webでは1日1件ペースに

つまり、2030年代に大量発生すると予想されていた使用済みパネルが、2020年代後半から早くも市場に戻り始めているということです。

国内循環の体制整備は急務であり、リユース市場の成長はこの課題への現実解の一つになっています。

不適切輸出の問題と、コンプライアンス時代の“透明な処理体制”

リクシアが競合として挙げているのは、他のリサイクル企業ではなく極端に安価な海外輸出業者です。
検査や梱包が不十分なまま輸出され、「コンテナごと海中投棄」などの深刻な環境問題が国外で発生している指摘もあります。

EPCでさえ、下請け構造の中で知らないうちに不適切輸出に繋がるケースがあるため、企業側はより“透明性の高い処理ルート”を選ぶ必要が出てきています。

今後予定されているリサイクル法制化も、不適切処理抑止の追い風になるでしょう。

これからの案件は「撤去・処理・循環」を含めて設計すべき時代へ

リパワリングが増えるほど、撤去 → 選別 → リユース → 適正処理のプロセスが案件の必須要素になります。

EPCにとって重要になるのは次の5点です。

  1. リユース・リサイクルの信頼できるパートナー選定
  2. 撤去・処理費用まで含めた総合見積りの標準化
  3. PPA提案でリユースパネルを選択肢として組み込む設計力
  4. 不適切輸出に巻き込まれないサプライチェーン管理
  5. 発電量・保証・劣化率など品質管理プロセスの確立

リユース市場は単なる“コストカット”ではなく、企業価値・追加性・循環型社会への貢献を示す領域へと進化しています。

国内循環と追加性が鍵を握る ― 新しい再エネ市場の姿

リパワリングとともに使用済みパネルが早期に大量発生するフェーズへ入り、国内循環をどう設計するかが再エネ業界全体のテーマになりました。

リユースパネルを活用したPPAのような取り組みは、

  • 追加性
  • 資源循環
  • カーボンフットプリント削減

を同時に実現する次世代モデルです。

EPCとしても、この流れを踏まえ、“設置して終わり”から“循環まで設計する”へと役割をアップデートしていく必要があります。