みなさん、こんにちは!

今日は全国で約7,000件にもなる「メガソーラー」の現状と課題についてご紹介します。
太陽光発電の普及が進む一方で、2040年頃に懸念される放置パネル問題や、地方自治体・企業が動き始めたリサイクルの新潮流に注目が集まっています。

メガソーラーの現状、7,000件超の設置と広がる環境リスク

千葉県鴨川市では、東京ドーム32個分(約146ヘクタール)の敷地に47万枚のパネルを設置するメガソーラー開発が進行中です。
しかし、大規模な樹木伐採(36万本超)や災害リスクが指摘され、県が工事の一時中止と現状復旧を求める事態に発展しました。

全国には出力1MW以上のメガソーラーが7,234件(全体の約4割)。
住宅・中小規模を含めると約70万件が稼働しており、日本の太陽光市場はすでに「飽和状態」とも言われています。

2040年に迫る“パネル廃棄ピーク”の現実

太陽光パネルの寿命は25〜30年。
FIT(固定価格買取制度)の初期導入期である2010年代前半に設置された設備は、2040年前後に一斉に寿命を迎えることになります。

専門家は、撤去費用の確保や処分場の逼迫、不法投棄などのリスクを指摘。
現在、国による具体的な対策は遅れており、熊本県などが「パネル放置ゼロ」を掲げて県単位でのルールづくりを始めています。

国が制度を整備しない中で、自治体主導の再エネガバナンスが動き出しているのが現状です。

福島から始まる“再資源化イノベーション”

一方で、弊社のある福島県ではポジティブな動きが見られます。
日東紡(福島市)は、廃棄パネルのカバーガラスを再利用してグラスファイバーに再資源化する技術を日本で初めて開発しました。
ガラスはパネル重量の約6割を占めるため、このリサイクル技術は今後の廃棄対策に大きく貢献します。

さらに、徳島市・喜多機械産業によるリユース事業、AGCとエヌ・ピー・シーの連携、マイクロ波を使ったガラス再生技術など、民間主導のリサイクル・リユース実証が全国に広がりつつあります。

これらは「撤去=負担」から「循環=価値創出」へと再エネの意味を変える流れです。

EPCが担う新しい使命

EPC(設計・調達・施工)事業者にとって、これからの競争力は「設置件数」ではなく“設計から撤去まで”の責任設計にあります。

2040年問題を見据えると、次の3つの視点が欠かせません。

  • 設計段階から撤去・再利用を想定した設計
  • リユース・リサイクル事業者との連携スキーム構築
  • 発電事業者に対する撤去・再投資提案モデルの確立

再エネを「作って終わり」にしない。
環境配慮 × 維持管理 × コスト最適化の三軸を両立できるEPCこそ、これからの再エネ産業の主役になるでしょう。

循環型エネルギー社会へ、2040年を「廃棄の山」にしないために

FIT導入から10年以上。太陽光発電は、拡大期から成熟期へと確実にシフトしています。
2040年を「廃棄のピーク」にするか、「循環エネルギーの転換点」にするかは、今の私たちの行動次第です。

地域から生まれる技術、現場を知るEPC、そしてそれを支える自治体。
三者が連携し、最後まで責任を持つ再エネの形を築くことが、次の時代のスタンダードになります。