みなさん、こんにちは!

今日は、福島民友で紹介されていた「節水型乾田直播栽培(水を張らない稲作)」のニュースを取り上げます。

これは、福島県鏡石町で始まった新しい稲作の取り組みで、気候変動・水資源・農業の省力化という3つの課題を同時に解決する可能性を秘めています。

渇水と人手不足に対応する“水を張らない稲作”

鏡石町の農家・佐藤幸一郎さん(78)は、今年初めて「節水型乾田直播栽培」に挑戦しました。
この方法では、田んぼに水を張らず、乾いた土に直接タネをまくことで、苗づくりや田植えを省略できます。

結果として、手間とコストを大幅に削減しながらも、収量は従来の7割を確保。
「初めてにしては成功に近い」と佐藤さんは手応えを語っています。

背景には、近年の猛暑による羽鳥ダムの渇水リスクがあり、地域ぐるみで「水を減らしても成り立つ稲作」を模索する流れがあります。

節水・省力・低コストがもたらす“持続可能な農業”への道

この農法の特徴は、単なる節水ではなく、農業インフラの再設計にあります。

  • 水張り・代かき・田植えが不要 → 作業工程を大幅削減
  • 灌漑コスト低減 → 燃料・電力使用も削減
  • 気候変動による水資源リスクを回避

国も補助金で支援を進めており、「水を使わない稲作」は、省エネ型農業の一つとして注目されています。

「乾田栽培 × ソーラーシェアリング」の親和性

節水型農法は、営農型太陽光(ソーラーシェアリング)との相性も良い農法だといえるでしょう。

パネル下では日射量が制限される一方で、地表の水分蒸発は抑えられます。
乾田直播のような“水に頼らない作物”なら、この環境を活かした共生設計が可能です。

たとえば、

  • 雨水を発電冷却や灌漑に再利用
  • AIで水分データを解析し、最小限の灌漑制御
  • 乾田化で架台施工コストを低減

といったように、「水を減らす」から「水を循環させる」へという発想転換が起こります。

気候変動時代の“農業×発電設計”へ

私たちEPCにとっても、乾田直播のような新農法は大きなヒントです。

発電シミュレーションや地盤解析、センサーによる土壌データの活用など、エネルギー設計のノウハウを“農地の省水化”に応用することができます。

将来的には、

  • AI灌漑制御 × 発電効率最適化
  • 作物データ × シミュレーションによる農業PPAモデル

といった、農業と再エネが融合した新しい地域インフラ設計が見えてきます。

再エネが普及するほど、水の使い方も変わっていく。
太陽光を“発電のための技術”としてだけでなく、地域の気候・水循環・農業生産を支えるテクノロジーとして位置づける。

私たちEPCとしても、「再エネ × 水 × 農業」の交点にあるソリューションを、今後さらに探っていきたいと思います。